こんにちは、CotoMirai代表の勝村航太です。
最近、プログラミング教育やSTEM教育という言葉をよく耳にするようになりましたが、「実際のところ、STEM教育って何なの?」と疑問に思っている保護者の方も多いのではないでしょうか。
私は埼玉大学時代からプログラミング・STEM教育に関わり始めて、かれこれ10年以上この分野で子どもたちと向き合ってきました。今回は、その経験を踏まえて、本当の意味でのSTEM教育について、率直にお話ししたいと思います。
そもそもSTEM教育って何だったの?
実は、2010年代前半に私が大学で関わり始めた頃、「プログラミング教育」という言葉はまだありませんでした。当時は「STEM教育」として、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)を統合的に学ぶアプローチが注目され始めていたんです。
埼玉大学のSTEM教育研究センターで学生研究員から始まって、最終的には運営スタッフまでやらせてもらいました。その中で、タイやインド、アメリカの学校を訪問して、現地の子どもたちにものづくりを教えたり、先生たちと一緒に研修をしたりする機会にも恵まれました。
でも、海外に行って一番感じたのは、「日本のプログラミング教育って、決して進んでいるわけじゃないけど、独特の良さがあるな」ということでした。
日本のSTEM教育の特徴って?
海外と比べて気づいたのは、日本のプログラミング・STEM教育は「問題解決能力の育成のための手段」という意味合いが強いということです。
つまり、プログラミングができるようになることがゴールではなく、プログラミングを通じて論理的に考える力や、試行錯誤しながら課題を解決する力を身につけることが重視されているんです。
これって、実はすごく教育的な視点だと思うんです。Scratchや安価なマイコンなどの普及により、今まで一部の専門家しかできなかったものづくりが「民主化」されて、子どもたちがより生きた問題解決活動に取り組めるようになりました。
「できる・できない」から「やりたい」へ
CotoMiraiで大切にしているのは、ニュージーランドの幼児教育研究者、マーガレット・カーが提唱した「ラーニングストーリー」という考え方です。
従来の教育では、年齢に応じて「これができるか、できないか」で子どもを評価しがちでした。でも、本当に大切なのは子どもの「やりたい」という気持ちじゃないでしょうか。
子どもたちの学びは、単なる知識の習得だけではありません。周りの人間関係や環境、社会的な文脈の中で起こるものです。だからこそ、私たちは子どもたちに「学びの構え」を育てることを重視しています。
「学びの構え」って具体的に何?
CotoMiraiでは、以下の3つの「学びの構え」を大切にしています:
1. 探求心
何かに夢中になる気持ち。興味や関心を深めていく力です。プログラミングでうまくいかない時も、「なんでだろう?」「こうしたらどうなる?」と考え続ける姿勢ですね。
2. ことば
自分の考えを言葉で表現して、人に伝える力。プログラミングって、実はコミュニケーションなんです。コンピュータとの対話でもあるし、作った作品を通じて他の人とつながることでもあります。
3. 情報活用
問題を見つけて、解決方法を考える力。「あれ、これ動かないな」「じゃあ、どうしたらいいだろう?」と考えることから、本当の学びが始まります。
3歳から始められる理由
「3歳からプログラミング?早すぎない?」とよく聞かれるのですが、私はそうは思いません。
プログラミング教育は物事の見方・考え方を学ぶ教育だからです。論理的に考える力や、順序立てて物事を進める力は、早いうちから身につけて損はありません。
実際のものづくりを通した活動が中心なので、小さな子どもでも体感的にプログラミング的思考を学ぶことができるんです。教室での学びだけでなく、日々の子育ての中でも「プログラミング的思考」を育てることは十分可能です。
個別指導へのこだわり
CotoMiraiでは、講師1人に対して生徒2〜3人の個別指導を基本にしています。
なぜかというと、学習のスピードや興味関心は一人ひとり全く違うからです。ある子は細かい作業が得意だったり、別の子は大胆なアイデアを出すのが上手だったり。その子の個性やモチベーションに合わせて、既存のカリキュラムをカスタマイズしながら指導を進めています。
集団授業だと、どうしても「みんなと同じペース」になってしまいがちですが、本当の学びって一人ひとり違うタイミングで起こるものだと思うんです。
大学時代の「研究コース」での学び
埼玉大学時代に特に印象深かったのは、「研究コース」というクラスを運営していたことです。
これは、一定期間ロボットやプログラミングを学んだ子どもたちが、「もう教えてもらうだけじゃ物足りない。自分で作りたいものを作りたい」と言い出したことから始まりました。
研究コースの特徴は:
- 子どもたちが自分でテーマを決める
- 9時〜18時まで自由に活動できる
- パソコンや工具、基本的な素材は自由に使える
- 「教える」のではなく「学び方」を伝える
子どもたちに提供したのは「場所」と「方法」だけ。「自由に作りたいものを作っていいよ」と言っても、実際には簡単じゃありません。だから、作りたいものを形にするための手順や情報収集の方法、うまくいかない時の対処法、アイデアの出し方、記録の取り方などを教えました。
正直、達成感を味わうより、なかなかうまくいかない現実と向き合うことの方が多かったです。1つのパーツを1日中組み立てては直し、組み立てては直しをやっている子もいました。でも、そういう経験こそが子どもたちを成長させるんだと実感しました。
10年先のプログラミング教育への想い
この10年で、プログラミング教育を取り巻く環境は劇的に変わりました。私が小学生の頃は、やっとほとんどの学校にPCルームが整備された程度でした。それが今では1人1台端末の時代です。
そんなドラスティックな変化を楽しむことが、教育に関わる者の使命だと思っています。
CotoMiraiでも、いろいろな新しい取り組みをしています:
- 幼児向けのプログラミングトイを使った活動
- 生徒同士の交流会や発表会を通したコミュニティづくり
- 外部の大会や競技会への参加
- Arduinoなどの新しい教材の導入
- 学童向けのロボット・プログラミング教育
2020年に小学校でプログラミング教育が始まって、まだ3年。まだまだ試されていない可能性がたくさんあると思っています。
最後に:本当のSTEM教育とは
結局のところ、本当の意味でのSTEM教育って、Science、Technology、Engineering、Mathematicsという4つの分野を統合的に学ぶことではあるんですが、それ以上に「子どもの『やりたい』という気持ちを大切にしながら、学びの構えを育てること」だと思うんです。
プログラミングができるようになることがゴールではありません。プログラミングやデジタルのものづくりを通して、これからの人生に必要な「学びの構え」を身につけることが大切です。
私自身、新しいもの好きで「ちゃんとやる」のが苦手で、しょっちゅうミスをしてしまうのですが(笑)、そんな私をフォローしてくれるスタッフや、一緒に学んでくれる子どもたち、支えてくださる保護者の皆さんと一緒に、これからも未来の教育を作っていきたいと思っています。
子どもたちが「やりたいコト」を声にして、それを形にできる。そんな学びの場を、これからも大切に育てていきたいです。
CotoMiraiについて
港区南青山で運営するプログラミングスクールCotoMiraiでは、3歳から始められる個別指導のプログラミング教育を提供しています。「やりたいコト」を声にし、形にする力を育てることを大切に、一人ひとりの子どもに寄り添った指導を行っています。
体験レッスンや教育相談も随時受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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CotoMirai(コトミライ)
東京都港区南青山1-15-40 ウィステリア南青山1階
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