こんにちは、CotoMirai代表の勝村航太です。
今回は、少し個人的な話から始めさせてください。私は元々、教員になることを目指していました。教員家庭に育ったこともあり、「ザ教員」になるのが自然な流れだと思っていたんです。
でも、大学時代に気づいたことがありました。「学校って万能じゃないんだな」「たまたま学校に馴染めないだけで人生で不利益を被るのは理不尽だ」ということです。
この気づきが、私を学校外教育(オルタナティブ教育)の世界に導き、今のプログラミング教育と不登校支援を組み合わせた活動につながっています。
学校に馴染めない子どもたちとの出会い
埼玉大学でSTEM教育に関わっていた頃、印象的な出会いがありました。群馬から片道2時間かけて、毎週プログラミング教室に通ってくる子がいたんです。
その子の保護者の方に理由を聞くと、「学校では理解してもらえない子の興味を、ここでは大切にしてもらえるから」ということでした。当時はまだプログラミング教育なんて言葉もなくて、「学年に1人の変わった理科好きの子のためのもの」みたいな扱いでした。
でも、その子がプログラミングに取り組んでいる時の目の輝きは忘れられません。学校では「変わった子」と見られがちな子が、自分の得意なことを見つけて生き生きと活動している姿を見て、「これって、すごく大切なことなんじゃないか」と思ったんです。
プログラミング教育が不登校支援になる理由
なぜプログラミング教育が不登校の子どもたちに効果的なのか、実際に関わってきた経験から感じることをお話しします。
1. 「正解」が一つじゃない
学校教育では、どうしても「正解」を求められることが多いですよね。でも、プログラミングは違います。同じ目標を達成するのに、いくつもの方法があります。
例えば、キャラクターを動かすプログラムを作る時、ある子は複雑なコードで細かく制御したがるし、別の子はシンプルな方法で大胆に動かしたがる。どちらも「正解」なんです。
この「自分なりの方法でいい」という安心感が、学校で傷ついた子どもたちの自信回復につながることが多いです。
2. 自分のペースで進められる
CotoMiraiでは個別指導を基本にしているのですが、これは特に学校に馴染めない子どもたちには重要なポイントです。
学校では「みんなと一緒に」「同じペースで」が求められがちですが、実際には一人ひとり学習のスピードも興味の向かう方向も全然違います。プログラミング教育なら、その子のペースに完全に合わせることができます。
3. 「失敗」が学びになる
プログラミングでは、エラーが出るのは当たり前。むしろ、エラーから学ぶことの方が多いくらいです。
学校で「間違えること」に対して恐怖心を持ってしまった子どもたちが、「失敗は悪いことじゃない、学びのチャンスなんだ」と気づく瞬間は、本当に感動的です。
「研究コース」での気づき
埼玉大学時代に運営していた「研究コース」では、多くの気づきがありました。
このコースは、一定期間プログラミングを学んだ子どもたちが「もう教えてもらうだけじゃ物足りない。自分で作りたいものを作りたい」と言い出したことから始まりました。
面白かったのは、普段学校では「問題児」と言われがちな子ほど、この環境で力を発揮することが多かったことです。
自由な環境での子どもたちの変化
- 朝9時から夕方6時まで、自分の好きな時間に来て好きな時間に帰る
- やりたいことを自分で決める
- 困った時は大人に相談できるけど、基本は自分で考える
こんな環境を作ってみると、学校では「集中力がない」と言われていた子が、一日中一つのことに没頭したり、「コミュニケーションが苦手」と言われていた子が、年下の子に教えるようになったり。
子どもって、環境が変われば全然違う一面を見せてくれるんですよね。
Un-School構想の背景
最近、私は「Un-School構想」ということを考えています。これは「学校っぽくない学び」を追求するという意味です。
具体的には:
- みんな同じ時間に同じところで、同じ内容を学ばなくてもいい
- 自分のやりたいことをやりたいと言える
- 自分に合った学び方を知っている
- 自分のキャリアを自分で切り拓ける
プログラミング教育は、この理想を実現するのにとても適していると思います。
実際の不登校支援での取り組み
CotoMiraiでは、不登校の子どもたちに対して、以下のような配慮をしています:
柔軟な通学スタイル
週1回から始めて、慣れてきたら回数を増やしたり、午前中だけ、午後だけという部分参加も可能です。「学校に行けないから何もできない」ではなく、「今の自分にできることから始めよう」という考え方を大切にしています。
出席扱いへの対応
文部科学省の指針に基づいて、在籍校と連携しながら出席扱いになるような報告書作成もサポートしています。ただし、これは「学校復帰のため」というより、「子どもの学習記録として」という位置づけです。
保護者の方へのサポート
不登校の子どもを持つ保護者の方の心理的な負担は、本当に大きいと思います。定期的な面談を通じて、お子さんの成長を一緒に確認したり、家庭での関わり方についてもご相談に乗っています。
プログラミングを通じた成長事例
具体的なケースをお話しします(もちろん、個人情報は伏せています)。
中学1年生のA君は、小学校高学年から不登校になり、人とのコミュニケーションが苦手でした。最初は保護者の方と一緒でないと教室に入れませんでした。
でも、プログラミングでゲームを作る活動を通じて、少しずつ変化が見られました:
- 最初は簡単なキャラクター移動のプログラムから
- だんだん複雑なゲームに挑戦するように
- 自分の作品を他の子に見せたがるようになった
- 困っている年下の子を自然に手伝うようになった
- 最終的には発表会で堂々と自分の作品を紹介
今では、プログラミングを通じて将来の目標も見えてきて、高校進学への意欲も出てきています。
大切にしている3つの「学びの構え」
不登校支援においても、CotoMiraiが大切にしている「学びの構え」は重要です:
探求心(夢中になる気持ち)
学校で傷ついた子どもたちが、再び「何かに夢中になる」体験をすることは、自信回復の第一歩です。
ことば(表現する力)
「どうせ分かってもらえない」と思いがちな子どもたちが、プログラミング作品を通じて「自分の考えを伝える喜び」を再発見できます。
情報活用(問題解決能力)
生きていく上で必ず必要になる「困った時にどうするか」という力を、プログラミングの試行錯誤を通じて身につけることができます。
学校復帰だけがゴールじゃない
よく「学校に戻すのが目的ですか?」と聞かれるのですが、私はそうは思いません。
もちろん、学校に戻りたいと思えるようになったら、それはそれで素晴らしいことです。でも、学校以外にも学びの場はたくさんあります。
大切なのは、その子が「自分らしく学べる場所」を見つけること。そして、将来にわたって「学び続ける力」を身につけることだと思います。
保護者の方へのメッセージ
お子さんが学校に行けなくなった時、保護者の方は「この子の将来は大丈夫だろうか」と不安になると思います。私も1歳の息子を持つ父親として、その気持ちは痛いほど分かります。
でも、学校に馴染めないということは、その子に合った学び方や環境が他にあるということかもしれません。
プログラミング教育は、そんな子どもたちにとって新しい可能性を開く鍵になることがあります。技術を身につけるだけでなく、「自分にもできることがある」「自分の考えを形にできる」という自信を取り戻すきっかけになるかもしれません。
これからの展望
今後は、CotoMiraiでの経験を活かして、より多くの不登校の子どもたちに学びの機会を提供していきたいと考えています。
港区南青山にオープンしたフリースクール的な活動では、プログラミングだけでなく、学習支援やSST(ソーシャルスキルトレーニング)も組み合わせた、より総合的な支援を目指しています。
また、学童保育や放課後等デイサービスの事業も通じて、学校外でも子どもたちが安心して過ごせる居場所づくりに取り組んでいます。
最後に
不登校は決して「問題」ではありません。その子なりの学び方、その子に合った環境があるはずです。
プログラミング教育を通じて、そんな子どもたちが「やりたいこと」を見つけて、「自分らしい学び」を実現できるよう、これからもサポートしていきたいと思います。
もし、お子さんの不登校でお悩みの保護者の方がいらっしゃったら、一度お話を聞かせてください。一緒に、その子にとっての「新しい学びの場」を考えてみませんか。
CotoMiraiの不登校支援について
港区南青山のCotoMiraiでは、不登校のお子さんに対する個別サポートを行っています。プログラミング教育を軸に、一人ひとりの状況に応じた柔軟な学習環境を提供します。
- 週1回からの柔軟な通学スタイル
- 出席扱いに向けた在籍校との連携サポート
- 保護者の方への定期的な相談機会
- 将来のキャリアを見据えた長期的な学習計画
お問い合わせ・相談はこちら
CotoMirai(コトミライ)
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まずはお気軽にご相談ください。お子さんの「やりたいこと」を一緒に見つけましょう。