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不登校児童の推移について

2024.12.11

【概要】

文部科学省は「日本の小中学校における不登校の児童生徒を含む長期欠席者の数は約46万人(うち不登校児童生徒は約30万人)」といったデータを発表しました。

さらに、不登校児童や不登校傾向にある児童は全国で、増加傾向にあると言った調査結果もあります。

本記事では、不登校人数の推移や学校に馴染めない隠れ不登校について解説します。

令和2年~4年にかけての不登校児童の推移

O- DANより引用

以下では令和2年〜4年にかけての不登校児童の推移について詳しく解説します。

中学校1クラスで2名不登校対象へ

毎年発表している文部科学省の統計データを参照すると、小学校・中学校における不登校児童生徒数の推移は急増傾向にあります。

30年以上にわたり不登校児童は増加の一途をたどり、令和2年では約13万人・令和3年は約16万人・令和4年では約19万人となっています。

さらに中学校1クラスで2名が不登校対象となり中学校3年生は例外としますが、基本的に学年が上がる度不登校の割合は直近3年間で、約4%→約5%→約6%と推移しています。

現代の状況を鑑みて、不登校児童・生徒を学校に通えるようにすると言った思考から離脱し、不登校であっても適切な教育を受けられる機会を整えると言った思考にシフトする必要があるでしょう。

不登校児童生徒の欠席日数に関して

前提として文部科学省において不登校の定義を以下の様に定めています。

長期欠席者(「児日数」欄及び「出席停止・忌引き等の日数」欄の合計の日数により、年度間に30日以上登校しなかった児童生徒)において、何らかの事情(心理的・情緒的・身体的)を抱えている状況にある児童・生徒(ただし病気・経済的理由・新型コロナウイルス感染は除く)

(文部科学省(2023)「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」P.69参照)

したがって学校への登校日数は約200日のため、登校日数に対して30日・90日・200日欠席した場合、特例の事情を除き不登校児童・生徒としてカウントされます。

エドテックジン(エドテックジン不登校児童生徒の欠席日数参照)が発表している不登校児童生徒の欠席日数の分布を確認すると、欠席日数が90日以上の不登校児童生徒は中学校で61.2%・小学校では44.6%存在します。

したがって中学生より小学生の方が不登校になりやすい傾向にあります。

学校に馴染めない隠れ不登校は推計33万人

O-DANより引用

文部科学省が毎年実施している不登校に関する調査では、学校や教育委員会を対象に行っていますが、前述のような調査では学校に馴染めず不登校になっているいわゆる隠れ不登校の人数を炙り出すことは困難です。

日本財団では不登校の本質を見出す方法は、当事者の子どもたちから生の声を聞くことが重要であると考えています。

実際に日本財団では全国の12~15歳の中学生6500名を対象に調査を実施しました。

すると不登校は3.1%存在し、不登校定義からは逸脱しているが不登校傾向にある中学生は、全体の10.2%存在することから結果的に学校に馴染めず隠れ不登校になっている中学生は、推計33万に上ります。(日本財団ジャーナル学校になじめない推計33万人の「隠れ不登校」中学生。彼らの声から見える「学校」の在り方とは?参照)

不登校傾向にある中学生は5つのタイプに分類される

不登校傾向にある中学生は以下5つのタイプに分類されます。

①1年間に合計30日以上学校を休んだことがあるまたは休んでいる

②学校の校門や保健室または校長室などには登校できるが教室には登校できない

③遅刻や早退日数や保健室で過ごす時間が多いなどの、基本的に教室で過ごすものの授業に参加する時間が少ない

④基本的に教室で過ごすものの授業に興味が持てず他の作業を行う

⑤基本的には教室で過ごしなおかつ授業にも参加しているが、心の中では学校に通学したくない・学校が辛く嫌だと感じている

①のタイプは文部科学省の不登校定義に当てはまっていますが、②〜⑤に関しては学校に通学している一方で、なかなか学校に馴染めないいわゆる不登校傾向がある子どもです。

②〜⑤の生徒に関しては決して学びに対して興味が持てないというわけではなく、自身に適した教育環境を求めています。

したがって学校ではいかに不登校傾向にある子どもが、学校に通学しやすい環境を整えることが大切です。