こんにちは、CotoMirai代表の勝村航太です。
「学童保育でプログラミング?そんなに必要なの?」
この質問をよくいただきます。確かに、従来の学童保育では「宿題をして、おやつを食べて、友達と遊ぶ」だけで十分だと考えられてきました。
でも、時代は変わっています。働く保護者のニーズも、子どもたちを取り巻く環境も、そして求められる教育も大きく変化しています。
今回は、教育学部出身で学童保育とプログラミング教育の両方に関わってきた立場から、「なぜ今、学童保育にプログラミングが必要なのか」について、率直にお話ししたいと思います。
変化する社会と保護者のニーズ
まず、私たちを取り巻く社会がどのように変化しているのかを整理してみましょう。
共働き家庭の増加と学童利用時間の長期化
厚生労働省の調査によると、共働き家庭の割合は年々増加しており、それに伴って学童保育の利用時間も長くなっています。
現在の学童保育利用の実態:
- 平日:15時〜19時(約4時間)
- 週5日利用
- 学校休業日:8時〜19時(約11時間)
つまり、子どもたちが学童保育で過ごす時間は、学校にいる時間とほぼ同じか、それ以上になっているんです。
働く保護者の意識変化
私が学童保育の現場で保護者の方とお話ししていて感じるのは、意識の変化です。
従来の保護者のニーズ:
- 安全に預かってもらえればいい
- 宿題を見てもらえれば助かる
- 友達と遊んで社会性を身につけてほしい
現在の保護者のニーズ:
- 安全性は当然として、学びの要素もほしい
- 家庭ではできない体験をさせてほしい
- 将来に役立つスキルを身につけてほしい
- 他の習い事に通わせる時間がないので、学童で補ってほしい
この変化の背景には、教育への関心の高まりと、限られた時間の中で効率的に子育てをしたいという現実的なニーズがあります。
デジタルネイティブ世代への対応
今の子どもたちは、生まれた時からデジタル機器に囲まれて育つ「デジタルネイティブ世代」です。
子どもたちのデジタル環境:
- 3歳でタブレットを操作
- 小学校入学時には1人1台端末
- 家庭でもオンライン学習が当たり前
- YouTubeやゲームでデジタルコンテンツに慣れ親しんでいる
こうした環境で育つ子どもたちにとって、デジタル技術を「使う」だけでなく「作る」体験は、とても重要だと思います。
2020年プログラミング教育必修化の影響
2020年に小学校でプログラミング教育が必修化されたことも、大きな変化をもたらしています。
学校教育の現状と課題
小学校でのプログラミング教育は始まりましたが、現実的には多くの課題があります。
学校現場の課題:
- 授業時間の制約(年間10〜15時間程度)
- 教員のスキル不足
- 設備や環境の不備
- 一斉授業では個別対応が困難
子どもたちの状況:
- 「プログラミングって何?」で終わってしまう
- 興味を持っても深く学ぶ機会がない
- 個人差が大きく、フォローが不十分
- 「難しい」「よくわからない」で諦めてしまう
学童保育が果たせる役割
学校ではできないことを、学童保育では実現できる可能性があります。
学童保育の優位性:
- 時間的余裕がある
- 少人数でのきめ細かい指導が可能
- 学年を越えた交流ができる
- 継続的な学習が可能
- 個人のペースに合わせられる
学校で「プログラミングって面白そう」と思った子どもたちが、学童保育でより深く学べる環境があれば、大きな学習効果が期待できます。
子どもたちの未来に必要な力
では、これからの時代を生きる子どもたちには、どんな力が必要なのでしょうか。
AI時代に求められるスキル
多くの専門家が指摘しているように、AIやロボットが発達する中で、人間に求められるスキルは変化しています。
これからの時代に重要なスキル:
- 創造性:新しいアイデアを生み出す力
- 論理的思考力:物事を整理して考える力
- 問題解決能力:困難な状況を乗り越える力
- コミュニケーション能力:人と協力して物事を進める力
- 学び続ける力:変化に適応し続ける力
これらは、まさにプログラミング教育を通じて育成できる力です。
プログラミング教育の本当の価値
誤解されがちですが、プログラミング教育の目的は「プログラマーを育てること」ではありません。
プログラミング教育で育つ力:
1. 論理的思考力
- 順序立てて考える習慣
- 原因と結果の関係を理解する力
- 複雑な問題を小さく分解して考える力
2. 試行錯誤する力
- うまくいかない時に諦めない姿勢
- 失敗から学ぶ経験
- 別の方法を考える柔軟性
3. 創造性
- 自分のアイデアを形にする喜び
- 「こんなものを作りたい」という発想力
- 既存のものを改良する視点
4. 自己表現力
- 作品を通じて自分の考えを伝える
- 他の人に説明する経験
- 自分の個性を発見する
学童保育特有のメリット
なぜ習い事として別の場所で学ぶのではなく、学童保育でプログラミングを学ぶのが良いのでしょうか。
日常の中での自然な学び
学童保育でプログラミングを学ぶ最大のメリットは、「日常の一部」として取り組めることです。
日常に組み込むメリット:
- 特別感がなく、自然に取り組める
- 継続的な学習が可能
- 友達と一緒に学べる
- プレッシャーが少ない
- 他の活動との組み合わせができる
異年齢交流の効果
学童保育では、1年生から6年生までが一緒に過ごします。これは、プログラミング学習においても大きなメリットになります。
異年齢交流の効果:
- 年上の子が年下の子を教える経験
- 年下の子が年上の子から刺激を受ける
- 競争ではなく協力の体験
- 多様な発想に触れる機会
保護者の負担軽減
共働き家庭が増える中で、保護者の負担軽減も重要な要素です。
保護者にとってのメリット:
- 送迎の負担がない
- 別の習い事に通わせる費用を抑えられる
- 学童保育の時間を有効活用できる
- 子どもの新しい一面を発見できる
実際の効果:じぶんごとラボでの経験から
私が関わった市川の「じぶんごとラボ」では、実際にプログラミング教育を導入した効果を感じています。
学習への取り組み方の変化
従来の宿題時間:
- 「やらなきゃ」という義務感
- 集中力が続かない
- わからないと諦めてしまう
プログラミング導入後:
- 「やってみたい」という自発性
- 集中して取り組む時間が増加
- うまくいかない時も「なぜだろう?」と考える
コミュニケーションの変化
プログラミング活動を通じて、子どもたちのコミュニケーションにも変化が見られました。
変化の例:
- 自分の作品を積極的に説明するようになった
- 困っている友達を自然に手伝うようになった
- 「こうしたらどうかな?」と提案する姿勢が増えた
- 年下の子に教える経験を通じて自信がついた
保護者からの反応
導入当初は半信半疑だった保護者の方々からも、子どもの変化を実感する声をいただいています。
実際の保護者の声: 「家で宿題をする時も、『これもプログラミングみたい』と言いながら、順序立てて取り組むようになりました。」
「以前は『学童で何したの?』と聞いても『べつに』としか答えなかったのに、今は目を輝かせてプログラミングの話をしてくれます。」
「引っ込み思案だった子が、自分から『今度はこんなのを作りたい』と話すようになって驚いています。」
導入への現実的な課題と解決策
もちろん、学童保育にプログラミング教育を導入するには課題もあります。
よくある課題
1. スタッフのスキル不足 「プログラミングなんて分からない」というスタッフの不安
2. 設備・環境の問題 パソコンやタブレット、Wi-Fi環境の整備
3. 時間・スケジュールの調整 既存の活動との兼ね合い
4. 費用・予算の問題 限られた予算での実現可能性
現実的な解決策
これらの課題に対して、私たちが開発した「コトコレクション」では以下のような解決策を提供しています。
スタッフスキルの問題 → 専門講師による出張指導
- 事前準備不要
- 施設スタッフの配置も原則不要
- 専門知識がなくても実施可能
設備・環境の問題 → 機材・教材の持参
- 必要な機材はすべて持参
- Wi-Fi環境があれば実施可能
- 設備投資を最小限に抑制
時間・スケジュールの問題 → 柔軟な実施形態
- 30分〜90分で調整可能
- 学年混合での実施に対応
- 継続クラスもイベント形式も選択可能
費用・予算の問題 → 現実的な料金設定
- 継続クラス:1回10,000円〜
- イベント形式:15,000円〜
- 学童保育の予算に配慮した価格帯
他の習い事との違い
「それなら、プログラミング教室に通わせればいいのでは?」という声もあります。確かにそれも一つの選択肢ですが、学童保育でのプログラミング教育には独自の価値があります。
プログラミング教室との違い
項目 | 学童保育 | プログラミング教室 |
---|---|---|
環境 | 日常的・リラックス | 特別・緊張感あり |
仲間 | いつもの友達 | 初対面の子も多い |
時間 | 継続的・長期的 | 限定的・短期的 |
圧力 | 低い(遊びの延長) | 高い(成果を求められる) |
費用 | 追加負担少 | 月謝が別途必要 |
送迎 | 不要 | 保護者の負担 |
学童保育だからこその価値
1. 心理的安全性 いつもの環境、いつもの友達との学びは、子どもにとって安心感があります。
2. 継続性 週に1回の習い事より、週2〜3回の日常的な取り組みの方が定着しやすいです。
3. 統合的な学び 他の活動(宿題、読書、外遊び)との組み合わせで、より豊かな学習体験になります。
4. 社会性の育成 競争ではなく協力、教え合いを通じた社会性の発達が期待できます。
未来の学童保育への展望
10年後、20年後の学童保育は、どのような姿になっているでしょうか。
予想される変化
短期的(3〜5年):
- プログラミング教育の普及
- デジタル機器の活用増加
- オンライン学習との組み合わせ
- 専門講師との連携拡大
中期的(5〜10年):
- AI技術の活用による個別最適化
- バーチャル体験の導入
- 地域企業との連携強化
- 多様な専門プログラムの提供
長期的(10年〜):
- 学童保育の教育機関化
- 大学や研究機関との連携
- 国際交流プログラムの実施
- 新しい職業体験の機会
学童保育の役割進化
従来の「預かり場所」から、「第二の教育の場」「未来を生きる力を育てる場所」へと進化していくことが予想されます。
今日から始められること
「将来的にはプログラミング教育も必要かもしれないけど、今すぐには…」と思う方もいらっしゃると思います。でも、今日からでも始められることがあります。
家庭でできること
1. デジタルとの向き合い方を変える
- 「ゲームばかりしないで」ではなく、「どんなゲームなの?」と興味を示す
- 一緒にプログラミング体験アプリを試してみる
- 子どもの「作りたい」気持ちを大切にする
2. 論理的思考を日常に取り入れる
- 料理の手順を一緒に考える
- 「なぜそうなったと思う?」と問いかける
- 順序立てて説明する経験を増やす
学童保育でできること
1. 小さなステップから
- 月1回のプログラミング体験イベントから始める
- 保護者向けの説明会を開催する
- 他の学童での実施例を見学する
2. 既存活動との組み合わせ
- 工作とプログラミングの組み合わせ
- 読書とデジタル表現の組み合わせ
- 算数の宿題にプログラミング的思考を活用
最後に:子どもたちの未来のために
私が学童保育にプログラミング教育を導入する理由は、シンプルです。
子どもたちの未来の可能性を広げたいから。
プログラマーになるかどうかは関係ありません。大切なのは、変化の激しい時代を生き抜く力を身につけること。そして、「自分にもできることがある」「やりたいことを形にできる」という自信を持つことです。
学童保育という、子どもたちが長い時間を過ごす場所で、そんな体験ができたら素晴らしいと思いませんか?
1歳の息子を持つ父親として、息子が学童保育に通う頃には、プログラミング教育が当たり前になっていてほしいと思います。そして、そのために今できることを、一歩ずつ進めていきたいと考えています。
「放課後の新常識」として、学童保育でのプログラミング教育が広がっていくことを願っています。
学童保育向けプログラミング教育について相談したい方へ
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勝村航太について:
- CotoMirai代表
- 埼玉大学教育学部出身
- 法政大学大学院キャリアデザイン学研究科修了
- 学童保育とプログラミング教育の専門家
子どもたちの未来のために、一緒に新しい学童保育の形を作っていきましょう。