ブログ

療育現場に革命を起こすFabriCoのものづくりアプローチ

2025.03.15

デジタルとアナログを融合した新時代の児童発達支援

療育の世界に新しい風が吹いています。埼玉県さいたま市にある放課後等デイサービス・児童発達支援施設「FabriCo(ファブリコ)」では、従来の療育手法に「ものづくり」という革新的な要素を加えることで、子どもたちの可能性を最大限に引き出す取り組みを行っています。運営する一般社団法人こどもとみらい教育研究会の代表、勝村航太氏の教育理念は、多くの保護者と療育関係者から注目を集めています。

ものづくり療育の核心理念

Fabrication(製作)から生まれる成長

FabriCoという名称は「Fabrication(製作)」に由来します。これは単なる作業活動ではなく、子どもたちが:

  • 自分自身への関心:作品を通して自分の好みや得意なことを発見
  • 他者への関心:共同作業や発表を通して仲間との関係を築く
  • 社会への関心:作ったものが誰かに役立つ体験を通して社会とのつながりを理解

することを目指した包括的な療育アプローチです。

デジタルとアナログの絶妙なバランス

現代的なプログラミング教育やSTEM教育に加えて、工作、裁縫、料理などの伝統的なものづくり活動も重視しているのがFabriCoの特徴です。この組み合わせにより、様々な特性を持つ子どもたちが自分に合った表現方法を見つけることができます。

勝村航太氏の教育バックグラウンド

10年間の実践研究

勝村氏のプログラミング教育への関わりは、埼玉大学教育学部時代に始まります。教育方法や総合学習の研究室でSTEM教育に出会い、埼玉大学STEM教育研究センターで学生研究員から運営スタッフまで経験しました。

国際的な視野も持つ勝村氏は、タイ、インド、アメリカなどでプログラミング・STEM教育について学び、現地の学校で子どもたちにものづくりを教える経験も積んでいます。この多様な経験が、FabriCoの教育プログラムに深みと幅広さをもたらしています。

教育学的アプローチの重要性

単なるプログラミング技術者ではなく、教育学的な専門知識を持つ勝村氏だからこそできる療育があります。工学系出身ではなく教育畑出身であることが、「プログラマーやエンジニアを育てることを目的としない」という明確な方針につながっています。

個別から小集団への段階的療育

一人ひとりに合わせたスタート

FabriCoでは、各子どもの発達段階と特性に応じて、個別療育から開始します。この個別対応により:

  • 子どもが安心して活動に参加できる環境を作る
  • 個々の興味関心を詳しく把握する
  • 適切な支援方法を見つける

ことが可能になります。

社会性発達への橋渡し

個別療育で基礎を築いた後は、段階的に小集団での活動へと移行します。この過程で子どもたちは:

  • 他者との協働作業
  • 意見交換や発表
  • 相互支援

などの社会性スキルを自然に身につけていきます。

対話的学びの実践

サークル対話の効果

FabriCoで重視されている「サークル対話」は、子どもたちが円になって座り、お互いの作品や体験について話し合う活動です。この取り組みにより:

言語化能力の向上 自分の体験や感情を言葉で表現する力が育ちます。

傾聴スキルの発達 他者の話を最後まで聞く態度が身につきます。

相互理解の深化 様々な視点があることを理解し、多様性を受け入れる心が育ちます。

振り返り活動の意義

活動の最後に行う振り返りは、単なる感想発表ではありません。子どもたちは以下の観点から自分の学びを整理します:

  • 今日できるようになったこと
  • 困ったことと解決方法
  • 次回挑戦したいこと
  • 友達から学んだこと

この構造化された振り返りにより、メタ認知能力が向上し、自律的な学習者としての基盤が築かれます。

保護者が知るべきFabriCoの価値

自己肯定感の向上

ものづくり活動は、子どもたちに明確な達成感を提供します。自分の手で作り上げた作品を見る時の子どもたちの表情は、他では見られない自信に満ちています。この成功体験の積み重ねが、学習意欲と自己肯定感の向上につながります。

将来への準備

21世紀を生きる子どもたちには、従来の知識詰め込み型学習だけでは対応できない課題が待ち受けています。FabriCoでのものづくり体験は、以下のような未来スキルを育成します:

創造性と革新性 既存の概念にとらわれず、新しいアイデアを形にする力

協働力 多様な背景を持つ人々と共に課題解決に取り組む能力

レジリエンス(回復力) 失敗を恐れず、困難に立ち向かう精神力

デジタルリテラシー テクノロジーを道具として適切に活用する能力

家庭での変化

FabriCoに通う子どもたちの多くは、家庭でも積極的な変化を見せています:

  • 自分から「作ってみたい」と提案するようになる
  • 困難な課題に対しても「やってみる」という姿勢を示す
  • 家族に対して自分の学習内容を説明しようとする
  • 日常生活でも論理的思考を応用しようとする

これらの変化は、療育の効果が日常生活全般に波及していることを示しています。

研究コースに見る先進的教育手法

勝村氏が埼玉大学時代に実施していた「研究コース」は、FabriCoの教育理念の原型となっています。このコースの特徴から、現在の療育アプローチの革新性を理解することができます。

自己主導型学習の実現

研究コースでは、子どもたちが自分でテーマを決めて作品作りに取り組みました。指導者は以下の支援を提供:

環境の整備

  • 必要な道具や材料の準備
  • 集中して作業できる空間の提供
  • 自由に使える十分な時間の確保

学習方法の指導

  • 情報収集の方法
  • 問題解決のアプローチ
  • アイデア発想の技法
  • 記録と振り返りの方法

長期プロジェクトによる深い学び

半年から1年間という長期にわたって一つのテーマに取り組むことで、子どもたちは以下を体験します:

継続する力の育成 すぐに結果が出ない状況でも諦めずに続ける粘り強さ

改善のサイクル 試作→評価→改良を繰り返すことで品質向上を図る姿勢

専門性の深化 一つの分野について深く学ぶことの楽しさと意義

療育事業者への示唆

差別化戦略としてのものづくり療育

療育市場が飽和状態にある中で、FabriCoのようなユニークなアプローチは重要な差別化要因となります。事業者の皆様が検討すべきポイント:

明確な理念の設定 単なる預かりサービスを超えた教育理念の明文化

専門性の確保 適切な知識と経験を持つスタッフの確保と継続的な研修

環境整備への投資 子どもたちが創造性を発揮できる物理的・心理的環境の構築

保護者とのコミュニケーション 療育の成果と意義を分かりやすく伝える仕組みづくり

利用者満足度向上の実例

ものづくり療育を導入した事業所では、以下のような効果が報告されています:

  • 利用児童の通所率向上
  • 保護者満足度の向上
  • 口コミによる新規利用者獲得
  • スタッフのモチベーション向上

これらの効果は、質の高い療育サービスが事業の持続可能性にも寄与することを示しています。

テクノロジー活用の未来展望

Arduino導入の意義

FabriCoでは、従来のビジュアルプログラミング環境(Scratch等)に加えて、Arduinoのような本格的なマイコンボードも導入しています。この取り組みにより:

実世界との接続 プログラムが物理的な世界に影響を与える体験

エンジニアリング思考 制約条件を考慮した設計思考の育成

キャリア意識の芽生え 将来の職業選択肢としての理工系分野への興味

10年先を見据えた教材選定

勝村氏は「学校の教育は10年単位で変わっていく」という長期的視点から教材選定を行っています。これにより:

  • 時代に先駆けた教育内容の提供
  • 子どもたちの将来的な競争力向上
  • 教育効果の最大化

が実現されています。

コミュニティ形成の重要性

生徒交流会の効果

FabriCoでは定期的に生徒交流会や発表会を開催しています。これらのイベントは:

学習意欲の向上 他の子どもたちの作品に刺激を受けて、さらなる挑戦意欲が湧く

プレゼンテーション能力の育成 自分の作品を他者に説明する経験を通じたコミュニケーション能力向上

多様性の理解 異なる特性を持つ仲間との交流による相互理解の深化

外部大会への参加

ロボットコンテストやプログラミングコンペティションへの参加は、子どもたちにとって大きな成長機会となります:

  • より高い目標設定への動機
  • 他地域の同世代との交流
  • 客観的な評価を受ける経験
  • チームワークの重要性の理解

まとめ:新しい療育パラダイムの提案

FabriCoのものづくりアプローチは、従来の療育手法に革新をもたらしています。勝村航太氏の「やりたいコトを声にしよう。カタチにしよう。」という理念は、子どもたちの主体性を最大限に尊重した教育実践として具現化されています。

保護者の皆様へ お子様の特性と興味を活かせる療育環境の選択が、将来の可能性を大きく左右します。単なる預かりサービスではなく、子どもの成長を支援する教育的価値の高い施設を選ぶことの重要性をご理解ください。

療育事業者の皆様へ 明確な教育理念に基づく質の高いサービス提供は、利用者満足度の向上と事業の差別化につながります。専門性の高いスタッフと充実した環境整備への投資は、長期的な事業成功の基盤となります。

教育関係者の皆様へ 学校教育と療育の連携により、すべての子どもたちがそれぞれの特性を活かして学べる環境の構築が可能になります。多様な学習機会の提供が、インクルーシブな社会の実現につながります。

FabriCoの取り組みが全国に広がることで、より多くの子どもたちが自分らしく輝ける未来の実現を期待しています。ものづくりを通じた学びが、次世代を担う子どもたちの無限の可能性を引き出し続けることでしょう。


施設情報 FabriCo(ファブリコ)さいたま新都心 運営:一般社団法人こどもとみらい教育研究会 代表:勝村航太 所在地:埼玉県さいたま市南区別所5-15-2 公式サイト:https://fabrico.fun/

関連事業

  • CotoMirai(プログラミングスクール):https://kids-mirai.jp/
  • じぶんごとラボ(学童保育):https://cotolabo.com/